冬の風邪には葛根湯!引きはじめでないと効かない理由

風邪の引きはじめ寒気 鍼灸施術

風邪の引きはじめといえば“葛根湯”のイメージが強いですよね。しかし、引きはじめであればどんな風邪にでも効く、というわけではありません。

葛根湯が得意とするのは、ズバリ、『冬の風邪』です! 

病院での処方だけでなく、ドラッグストアなどでも手に入る身近な漢方薬ですが、いつ飲めばいいのか、どんな症状に効くのか…正しく知らない方は意外と多いと思います。 

今回はこれからの季節に備えて、葛根湯の上手な使い方や、合わせて使える風邪対策のツボをご紹介しますね! 

葛根湯とは? 

葛根湯は7つの生薬からできています。 

葛根湯顆粒

・葛根(カッコン):こわばった肌や筋を緩める 

・麻黄(マオウ):発汗、咳止め、利尿作用 

・桂皮(ケイヒ):体を温めて、発汗させる 

・芍薬(シャクヤク):血を補う、止血・止痛 

・甘草(カンゾウ):アレルギーや炎症を抑える 

・大棗(タイソウ):消化吸収を高める 

・生姜(ショウキョウ):体を温めて、発汗を強める  

これらの組み合わせにより、体を温めて汗をかきやすくさせるのが、葛根湯の主な作用です。 

冬の風邪と葛根湯 

東洋医学では、6つの気候のエネルギー「風、暑、湿、燥、寒、火」のバランスが崩れると、それらが邪気となり、不調を引き起こすと考えられています。 

特に秋から冬にかけては、「寒さの邪気」が「風の邪気」と結びついて体に入りやすいため、芯から冷えて体調を崩してしまいがち。 

したがって、体を温めて治す葛根湯は、寒い時期に引く風邪にぴったりなのです。 

葛根湯が効果的な服用とは?

“引きはじめ”が肝心 

・悪寒(背中がゾクゾクする) 

・頭痛 

・首や肩のこわばり 

この段階では、邪気はまだ体の表面にいると考えられているので、葛根湯で体を温めて毛穴を開けば、汗と一緒に追い出すことができます。 

風邪症状が進んでいたら効果なし? 

・喉の痛み 

・鼻水 

・咳 

・おなかの不調 

など 

これらの症状が出ているなら、邪気はすでに体の奥に進んでしまっているので、葛根湯では不十分です。症状に合わせて別の漢方薬を選びましょう。

服用のタイミングは【汗】 

葛根湯は【“汗”をかいていない時期】に飲まなければ、効果が期待できません。 

高熱ですでに汗をかいていたら、服用の時期を逃している可能性が高いです。 

汗

葛根湯が効かないのはなぜ? 

葛根湯を飲んでみたけど、効かなかったという人もいると思います。 

それには4つの原因が考えられます。 

服用のタイミングが遅い 

最も大事なのはタイミング。発症してすぐに飲まなければ効果が弱まります。寒気がして、汗がまだ出ていない初期の間に飲み始めましょう。 

また、服用の際は、食前(食事の30分前)や食間(食事の2時間後)に飲むと、吸収が良いのでより効果的です。 

風邪のタイプに合っていない 

漢方薬は風邪の原因や症状の進行を見極めて選ぶ必要があります。 

例えば、熱感が強いタイプの風邪には、葛根湯は逆効果。 

夏風邪は体に「熱の邪気」が入り、のどの痛みや体のほてりが出やすいので、熱を発散させる漢方薬「銀翹散(ギンギョウサン)」が効果的です。 

ただし、冷房などの影響で、冷えからくる風邪であれば、体を温める葛根湯の方が適切な場合もあるのです。

体質が合っていない 

実は、葛根湯はある程度体力がある人に合う漢方薬です。 

高齢者や胃腸の弱い人・冷え性の人は、体温が上がりにくいため、効果が感じられないことがあります。また、普段から汗をかきやすい人も不向きです。 

※体質や持病によって副作用が生じることもあるので、不安な場合は、医師や薬剤師に相談してくださいね。 

解熱剤を併用している

葛根湯は体温を上げることで免疫機能を高め、ウイルスの増殖を防ぎますが、市販の風邪薬は熱を下げてしまう場合があります。

むやみに併用すると、葛根湯の効果が失われてしまうので、お薬の飲み合わせには十分注意しましょう。

風邪予防に効くツボ 

漢方薬と同じように、鍼灸で使うツボも風邪のタイプによって違います。 

ここでは葛根湯と合わせて使える、冬の風邪に効果的なツボをお伝えします。 

風門(ふうもん) 

風の門と書くこのツボは、まさに風の出入り口。邪気はこのツボを通って体の中に入ってくると考えられています。 

場所は背中で、俯くと出っ張る大きな首の骨から指3本分ほど下がり、そこから指2本分外側にあります。 

風池(ふうち) 

こちらも文字通り、風の邪気が池のように溜まるところで、肩こりや頭痛にもよく使われます。 

場所は首の後ろで、生え際あたりのくぼみにあります。 

 

冷やさないのが大事

他にも「風」の漢字が使われているツボは、首の後ろや背中に集まっています。 

風邪予防のために、首の開いた服を避け、ストールなどで冷えないように覆いましょう。 また、ツボはゆっくり指で押し、カイロやドライヤーなどで温めると良いですよ。 

首ツボ押し

葛根湯と鍼灸で免疫力を維持しよう

葛根湯はウイルスを直接やっつける薬ではなく、弱った体のはたらきを手助けしてくれると考えるのが良いでしょう。 

そういう意味では葛根湯で気力を補い、鍼灸で免疫力をケアするのもオススメです。

季節の変わり目、気温が下がってくると免疫力も下がります。まずは体を温め、十分な休息をとってお過ごしくださいね。 

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